グループ67社の人員データベースを統合。戦略人事の基盤を整える

リアルタイムに更新されるグループ連結従業員データベースを構築し、戦略人事の基盤を整備

「人を活かす」ことを使命として、エキスパートサービス(人材派遣)やインソーシング(業務受託)など、多彩な人材関連サービスを提供するパソナグループ。中核企業のパソナをはじめ、国内外に67の子会社を展開しており、膨大な数となるグループ全体の人員(ヘッドカウント)及び配置状況の把握や全体最適化が大きな課題でした。そこで同社は、コネクテッド プランニング プラットフォームであるAnaplanを導入。リアルタイムに更新されるグループ連結従業員データベースにさまざまな情報を付加することで、戦略人事の基盤を整えました。

ありとあらゆる社内データを柔軟に取り込んで活用できる設計になっていることが、Anaplanのメリットの一つです。
石田 陽菜氏, グループHR部 HR企画チーム

大幅短縮

賞与の予算総額の試算、考課査定に関わる作業時間が大幅に短縮

1~2人

拠点人員、賞与、人件費それぞれのモデルをほぼ1~2人で作成


エキスパートサービス(人材派遣)、インソーシング(業務受託)、グローバルソリューション(海外事業支援)など多彩な人材関連サービスを提供する株式会社パソナグループは、人材関連のありとあらゆる企業の「困りごと」をトータルに支援している企業です。

 

「女性の活躍」を応援してきたパソナグループは、社内における女性社員の割合が高く、産休・育休後の復職を支援する制度が手厚い一方で、「いつ、どの部署や拠点に、何名の社員が復職するのか」ということが十分に把握できず、営業人員数の適正化が図れないという課題があったといいます。

 

「毎月2回、各部署・拠点へエクセルシートを配付し入力後、回収・集計していました。しかし、このやり方だと人員数の集計に時間がかかり、タイムラグにより実態との乖離が生じてしまいます。集計ミスも日常茶飯事でした」(財務経理本部 財務経理部 企画グループ長
天谷 太一氏)

 

単体でのデータベースから、グループ全体でのデータベース連携へ展開

パソナの営業HCM室は、この問題を解決すべく2016年8月にAnaplanを導入。社内の人事システムのデータベースを取り込み、必要なデータを呼び出し、さらに定型フォーマットへの入力情報をもとに自動集計するクラウドベースのデータ活用プラットフォームを構築したことで、各部署・拠点の状況をリアルタイムも把握できるようになり、会社全体として正確な人員配置が実現しました。

 

その後、この中核事業会社であるパソナの成功事例を受けて、2019年10月には親会社のパソナグループもAnaplanの導入に至りました。

「煩わしく、ミスの多い手作業から解放され、その分、働きやすい制度づくりやタレントマネジメントといった、人事部門の本来やるべき仕事に専念できるようになったのは非常にありがたいことです」(グループHR部 DX推進ユニット 大石 眸氏)

 

さまざまな人事関連データと紐付けて対応領域を広げていく

Anaplan導入後は、入退社や子会社間の異動など、人員数の変動情報を標準フォーマット画面に入力するだけで「連結従業員データベース」が自動更新されるようになるなど、さまざまな導入効果が表れています。

 

「たとえば、勤怠管理モデルでは子会社の、どの社員の時間外勤務が法定を超過しそうかといったことが、グループとして一元管理できるようになりました。子会社側の人事部門がうっかり見落としがちな状況にアラートを出せるなど、ガバナンスの強化にも効果を発揮しています」(大石氏)

 

また、“賞与査定の定義”がたびたび変更された場合でも、すぐに予算総額を試算して経営会議に提出できるようになり、考課査定に関わる作業時間が大幅に短縮されました。

 

「専門的なプログラミング知識が少なくても、Excelを使いこなせる程度の知識と技能があれば、簡単にモデルをつくることができるのも非常に便利です。実際に2019年の10月にこのプロジェクトが走り始めたのですが、最初に在籍集計のモデルを私ともう一人で作り始め、3か月ほどで完成した「連結従業員データベース」をもとにして、拠点人員、賞与、人件費それぞれのモデルをほぼ1~2人で作成しました」(石田氏)

 

パソナグループは、今後も「連結従業員データベース」の応用範囲を広げながら、グループ全体としての“戦略人事の実現”へ向けて推進していく方針だ。

天谷 太一氏、財務経理本部 財務経理部企画グループ長